名刺は、いつの時代も、自分の立場を改善させます。
インターネットが発展しても、名刺は衰退していません。
むしろネット社会を経験した今だからこそ、名刺の意義が再認識されています。
名刺の歴史をひもとくと、自分の立場を大事にして強く生きてきた人の歴史でもあります。
原点に立ち戻ることで、自分の名刺に役立てられるかもしれません。
名刺を育てたのは「恥ずかしがらずに自分を売り込んだ策士」
よく「何かを得るには、何かを失う」と言います。
たとえば、自分を宣伝するのは少し気恥ずかしいですが、営業や出世のためには恥ずかしいなんて言っていられない瞬間ってありませんか?
名刺の起源は、7世紀から10世紀の中国の唐の時代でした。
訪問先のお宅が不在だったら、玄関に自分の名前を書いた札を差し込みます。
今でいう「あいさつまわり」の感覚で、偉い人のもとに足しげく通うことで、自分の評価が上がるのでしょう。
始めた人は、誰もやっていないけれど、自分の努力を証明したいあまり、恥ずかしさを省みず、自分をアピールしました。恥じらいよりも、自分の意欲を相手に伝えることを優先しています。
江戸時代の日本や16世紀のドイツでも、同様の使われかたをしています。
名刺を広げたのは「社交を制して地位を得た人」
大航海時代を経て、名刺は各国共通の文化になりました。
フランスの社交界で、センスの良いデザインや写真入りの名刺が登場します。
さらに、いまの名刺の型が広まるきっかけになりました。黄金比とやがて、アメリカ合衆国の建国と発展にともない、上流社会のコミュニケーション手段になります。有力な異性との交際や縁談につながります。
開国した日本の社交界でも、さっそく名刺を持つようになりました。
ビジネス利用で爆発した「名刺の宣伝力」
19世紀から20世紀にかけて、名刺はアメリカでビジネス利用され、大きく進展します。
人、モノ、サービスの流通が広がるにつれ、自社を印象付け、ビジネスを有利にする宣伝の力を発揮し始めます。
近代化にともない、なくてはならない存在になり、皆さんがご存知の名刺の機能に落ち着きます。
名刺が広まった時代から100年が過ぎ、いま再び、時代の潮目にあります。
インターネットは、多くの人にビジネスのチャンスをもたらしました。
同時に、商品やサービスを選ぶ人が、子供からお年寄り、病気の人、海外の人まで広がったとも言えます。気を配らなければならない仕事の相手は、現役の高齢者、アジアのビジネスマンと幅広くなりました。
自分が切り込んでいくには、埋もれない名刺が必要です。
本当に機能している名刺で、たくましく生きていきたいですね。